更年期後、女性ホルモンはどうなる?

閉経後は女性ホルモンが出なくなる」そう聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ですが、医学的に見ると、女性ホルモンは完全にゼロになるわけではありません
ただし、閉経前と比べると体が大きな変化を感じるほど減少します。

「昔と同じように頑張っているのに、疲れやすい」
「体がこわばって、回復に時間がかかる」

それは、気持ちの問題でも年齢のせいでもありません。

なぜ不調が起きやすくなるのか。
体の中では何が起きているのか。その仕組みを、できるだけわかりやすくお伝えします。

女性ホルモンは完全にゼロにはならない

結論からお伝えすると、女性ホルモンは閉経後にゼロになるわけではありません

女性ホルモンは主に卵巣から分泌されますが、閉経を迎えると、この卵巣から分泌されるエストロゲンが大きく減少します。量としては、閉経前の約10分の1以下になるといわれています。

この変化が比較的短期間で起こるため、体が順応しきれず、「ホルモンがなくなった」と感じるほどの大きな変化として現れるのです。

※本図は一般的な女性ホルモン変化の傾向を示したイメージ図です。個人差があります。

なぜ不調を感じるのか

多くの不調は、ホルモンが「なくなった」ことよりも、体の環境が急激に変化することが影響しています。

関節や筋肉、自律神経は、エストロゲンを栄養としながら働いています。月経のある時期には、卵巣から分泌されるエストロゲンが周期的に増減し、体全体のバランスを支えています。更年期を過ぎるとエストロゲンが急激に減少し、女性ホルモンの総量が大きく変化して、自律神経や血流、筋肉の働きが不安定になり、不調を感じやすくなります。

その結果、

  • ほてり
  • 疲れやすさ
  • 気分の揺らぎ
  • 体のこわばりや痛み

といった自律神経や関節の症状が現れやすくなります。

閉経後もエストロゲンは作られる

閉経後は、卵巣以外の場所でも少量のエストロゲンが作られます。脂肪組織や副腎、筋肉などが、その役割を担っています。これは、体内で作られた別のホルモンが、脂肪や筋肉の中でエストロゲンに変換される仕組みがあるためです。量は少なくても、血流や筋肉の状態が保たれている体ほど、ホルモンの影響を穏やかに受け取ることができます。

閉経後の体に必要なのは、「ホルモンを増やすこと」ではなく、ホルモンの変化に適応できる体を整えること。

体を動かし、呼吸を整え、血流を保つことが、これからの体を支える大切な土台になります。

閉経後の体に必要なのは、「ホルモンを増やすこと」ではなく、ホルモンの変化に適応できる体を整えること。体を動かし、呼吸を整え、血流を保つことで、これからの体を支える大切な土台になります。

ホルモンの変化に適応できる身体を整える

ホルモンの変化に振り回されにくい体をつくるために、特別なことをする必要はありません。大切なのは、体に負担をかけず、循環を保つこと。そのためにおすすめなのが、「がんばらない・痛くならない・呼吸が止まらない」やさしい運動です。

閉経前後の体は、強い刺激や急な変化に対して回復に時間がかかりやすくなります。その状態で無理に鍛えようとすると、かえって疲労や痛みが残りやすくなります。

一方で、ゆっくりと呼吸に合わせて行う運動は、

  • 血流を促す
  • 自律神経を整える
  • ホルモンの効果を受け止めやすい筋肉をつくる

といった作用があり、ホルモン変化の影響を小さくしていく効果があります。

特に意識したいのは「呼吸」

普段、あなたの呼吸は浅くなっていませんか。

呼吸が浅くなると内臓の血流が悪くなります。骨盤の中は内臓へ栄養を送る血管も多く、血流・神経・筋肉が集まる体の要になる場所です。

日常生活の中で、

  • 長時間同じ姿勢で過ごすこと
  • 歩く量が減ること
  • 睡眠不足
  • イライラしたりストレスを感じること

といったことが重なると、呼吸が浅くなります。更年期に差し掛かると、子育てや仕事で忙しくなり、自分の体を後回しにして頑張りがちになります。

その結果、骨盤から体全体への巡りが落ち、自律神経やホルモンの働きにも影響が出るという悪循環に陥りやすくなります。やさしい動きで骨盤まわりをほぐすように体を動かすことは、体全体の血流を促し、副腎や筋肉の働きを支えることにつながります。

運動は「整える」ためのもの

この時期に必要なのは、追い込む運動ではなく体の状態を感じ取る運動。例えばヨガやストレッチが挙げられます。

「今日はここが動きにくいな」
「呼吸が浅いな」

そんな気づきが、これからの体づくりの大切なヒントになります。

ゆっくり空気を味わうように深呼吸することで、カチコチになった肩や背中をやわらげて簡単に体を整えられます。自分では感じにくい体の変化もインストラクターや先生と一緒に行うことで気づいてもらえることがあります。

人と比べるのではなく、「今日の私の体は、どうかな」という視点で向き合うことが大切です。

まとめ

女性ホルモンは、閉経によって急にゼロになるわけではありません。ただ、これまでと同じようには働かなくなっていきます。

その変化に対して、「何か足さなきゃ」「頑張らなきゃ」と思う必要はありません。これから大切になるのは、体に負担をかけず、巡りを保ち、自分の状態に気づいてあげること。やさしく体を動かすことは、ホルモンを増やすためではなく、変化した体と上手につきあうための手段です。

今の体に合った動かし方を知ることが、これからの不調を減らし、「まだ大丈夫」と感じられる時間を増やしてくれます。

体は、年齢とともに衰えるだけの存在ではありません。整え方を変えれば、ちゃんと応えてくれる力を持っています。ゆったりと体を感じる時間が、更年期からの不調をやさしく和らげてくれますよ。